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ドローン業界ニュース

2025-02-28

カイコが人命救助で活躍? 触角をセンサーに使ったドローンでにおいを追跡 災害現場での捜索に役立つ技術を研究

信州大繊維学部(長野県上田市)の照月大悟准教授(36)=バイオハイブリッド工学=と千葉大大学院工学研究院(千葉県)の中田敏是(としゆき)准教授(41)=生物流体=らの研究グループが、生きたカイコガから切り取った触角をセンサーに使ったドローンを5メートル先のにおいの発生源に到達させる実験に成功した。成果を応用して災害現場での要救助者の捜索などに役立つ技術の実現を目指している。

<2メートルの“壁”>
 昆虫の触角はにおいを受容すると電気信号を発し、切断後も一定時間、機能を持続するという。照月准教授は東京大先端科学技術研究センターに在籍していた2021年、雄のカイコガの触角を使ったドローンを開発。触角の両端を電極に貼り付け、雌のフェロモンのにおいに反応するセンサーとした。このドローンで、においの発生源に到達することに成功したが、探索可能な範囲が2メートル程度に限られている点が課題だった。

<昆虫の行動をヒントに改良>
 生物の飛行メカニズムに詳しい中田准教授との共同研究を始め、昆虫の行動をヒントに改良を加えた。センサー部分をカバーで覆い、空気が流れ込む方向を絞り込むことでにおいの発生源の方向を感知する能力が向上。カイコガが羽ばたきにより触角に向けて気流を誘導する動きから着想を得た。

 昆虫がにおいの発生源をたどる際、停止しながら探索する動作も取り入れた。その場で120度ずつ回転しながらにおいの情報を取得し、1回転。取得した情報を基ににおいの発生源の方向を推定し、70センチ直進して再び1回転する―といった動作を繰り返す。

<5メートルまで探索可能に>
 こうした改良を経て、探索精度は約2倍に向上。探索可能な範囲は5メートルに広がった。電極部分にも手を加え、センサーの寿命は1~2時間から5時間程度まで延びた。

<蚊の触角を使ったドローンも研究>
 チームは現在、蚊の触角を使って人間のにおいを追跡できるドローンの開発に取り組んでおり、災害現場での活用が期待できるとする。ガス漏れや危険物質の検知などにも応用できる可能性があり、照月准教授は「新しい技術で現場をサポートできたらいい」と話している。


<コメント>

昆虫の触角は匂い物質を高感度に検出するメカニズムを備えており、特にカイコガのオスは、メスの放出するフェロモンの匂いを高感度に検出する能力が卓越しているとのこと。
その嗅覚機能に着目し、近年カイコガを利用した高感度匂いセンサーの研究、開発が進められています。

このカイコガの触角を利用したドローンは、視界不良の災害現場でも匂いを利用して要救助者を発見することができる新しい災害救助システムとなるのではないでしょうか。

また本研究成果は、ネイチャー・パートナー・ジャーナル(npj)のロボット系雑誌であるnpj Roboticsに、令和7年2月5日に公開されました。