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ドローン業界ニュース

2020-11-30

遠隔診断、薬はドローンで 106人の島が未来の世界に


 長崎県五島市三井楽町の離島、嵯峨島(さがのしま)で、インターネットやドローンを利用した遠隔医療の実証事業が進んでいる。市と長崎大、ANAホールディングス株式会社、NTTドコモ九州支社が協力して進めているプロジェクトだ。診療から薬の輸送までの一連の流れが報道機関に公開された。

 国土交通省が進めるスマートアイランド推進実証調査業務の一環で、五島市(野口市太郎市長)を代表団体とする4者で構成する五島スマートアイランド実証推進調査協議会が、10月5日から来年2月12日までの予定で取り組んでいる。

 嵯峨島は五島列島・福江島の西約5キロ、65世帯106人が暮らす2次離島だ。島の出張診療所には看護師1人が常駐し、医師は週1回、水曜午後に福江島の三井楽診療所から通っている。

 実証事業のオンライン診療は月~金曜(医師がいる水曜午後を除く)の指定した時間帯に実施中だ。11月5日は、男性の住民が嵯峨島出張診療所で診療を体験。アバター(分身)ロボットのタブレット端末画面に、三井楽診療所にいる医師の顔が映し出され、男性は医師と実際に対面しているような様子でやりとりした。

 診察後、男性は福江島にいる薬剤師からオンラインで服薬指導も受けた。処方した薬は嵯峨島から約5キロの貝津港でドローンに積み込まれ、10分ほどで島に到着。看護師が薬を受け取り、男性に手渡した。

 厚生労働省の指針では、これまでオンライン診療は「初診は対面診療」が原則だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、特例で初診から受診が可能となった。実証事業は、遠隔医療モデルの効果を確かめ、コロナ収束後の恒久的な規制緩和の必要性を検証するのが狙いだ。

 三井楽診療所の田中孝和医師は「表情がわかり症状も伝わりやすい。病人が船で渡り病院まで来るという負担も軽減される。音声が途切れたり、光の当たり方によって見えづらかったりする課題を検証し、役立つツールにする必要がある」と述べた。

 診療を体験した男性は「いつも受診している医師の顔を見ながら話ができ、安心感がある。普段と変わらず違和感はなかった。薬をドローンで運ぶ様子は昔みていた未来の世界のようだった」と話していた。

コメント

昨今、離島や山間部など遠隔地でのオンライン診療、オンライン服薬指導、ドローンによる薬の配送の実証実験が行われています。 

現在はまだ実験段階であり、法律や安全性、温度管理やコストなど様々な課題がありますが、実用化が進めば医師が少ない地域での医療の充実や、体が不自由で外出が難しい高齢者などにも医療を提供できるようになります。

一日も早いサービスの実現が期待されます。